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kikuyamaru's blog

こちらにはノンジャンルの長文などを書いています。

バスが来ない話

かつて住んだ市を訪れました。
十数年前まで、その市へは、隣接した大都市から、一時間に何本かのバスが行き来していました。
現在はその便がなくなり、コミュニティーバスが市域を走っています。

以前から変わらず鉄道はありますが、かつては、ベッドタウンとして大都市からバス一本で帰ってこられる利便性が必要とされたのです。
大都市とは、昭和のころから何度か合併の話があったそうですが、都度、合併しないことを選択して、今日に至っています。
そのうち、大都市は反対の方へと巨大になってゆきました。
そういうことになると、周辺部は周辺部で合併したりするものですが、それもせずに「わが市」は小さな独立を保っていました。
昭和のニュータウンは、首都圏のニュータウンと同じように年を経て色を失っていきました。
バスが来ないことは、大都市との密なつながりが失われていったことを示しているようでした。
代わりに昔は熊が出たような山が住宅地となり、工場と、園芸作物の畑と、港町、そして空港。

2年前、あの津波は、港町を流し去り、畑を飲み込みました。
再建することがいまだかなわないその町の入り口まで、路線バスはやってきます。私は、この辺がバス通りじゃないかなあ、というところをてこてことあるきました。しかし、逃してしまったようで、仕方ないので、別の手段のあるところまで4Kmほどを歩きました。
#まあ、いざとなったら歩けるとわかっていたから行ったんだけど。
土日の夕方のバスは1本逃すともうないのです。
 
次の日、追悼式のおこなわれる会場まで、駅からバスに乗れないかと時刻表を眺めましたが、
かつては、さらに遠くを目指す長距離の路線が通過していくために、1時間に何本もあったものが、今は市内をぐるぐるするだけですので、1時間に1本あるかないかで、時間的にうまくないようです。歩ける距離でしたが、前日歩きすぎて嫌になっていたのでタクシーを使いました。
帰りはシャトルバスに乗りました。いくつかの方向へバスが出ましたが、私の乗ったバスには私1人でした。
人がいないんでしょうか。みんな車に乗っているだけでしょうか。
 
海辺の町のひとつには、来月からバスが来なくなります。というか、震災以来来ていなかったものが、正式に廃止されます。
もう一つの町へのバスはコミュニティーバスに引き継がれるそうです。
 
血液のように行き来する人に応じてバスは走ります。
学生の頃、家の近くまで席の空くことのなかった大きなバスは、今はもう来ない。
私もその土地を去った1人ではないか。
 
バスが来ないのは自分のせい。そうかもしれない。
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