狂宴哀歌
IMAホール 2019.5.3初日 5.7千穐楽
S席6500円 SS席9500円
上演2時間45分目安 うち幕間(まくあい)休憩15分。
とくにまとまらないメモ書きです。関根寄り目線にて。
剣舞プロジェクトの時代劇ミュージカル。
新選組の話です。この芝居では新撰組表記のため、以後 新撰組で。
あらすじは、、まあ、新撰組です。
なのでネタバレもクソも(まあお下品)ない気がしますが、微塵も知りたくない人は引き返してください。
5/3 昼B, 夜A
令和最初の観劇となりました。
・見やすい劇場ですね。
Sも傾斜があり、SSは座席前通路が広い。音はSのほうが聴きやすかった。今日は。
SS席の値段はちと高いね。生演奏付きの時と同じ値段なんでしょう?
これは1万円の芝居か?については、楽まで考え続けようと思います。
チケット瞬殺、と呼ばれる芝居も世の中にはある中、中盤苦戦しませんでしたか。前情報から判断したら、お高いと思うんだよな。(個人の感想)
・ただ、多分徳山ファン的には、出してもいい値段かも。ボロ泣きしてる表情とかも見られていいかな。
土方さんに背後から照明が当たると有り難いっす。
・蝦夷でのラストもいい。これは遠目から見て舞台的にいいです。
・蝦夷での…と書きましたが、昼夜でラストの場が違った。これはどっちかなあ。
片方は、山南の死の理由にそこまで理屈と意味を持たせるかなあって思っちゃうとこもある。(あ、山南でラストではないです)
多分、軸として、二君に仕えずの誠と、家族・仲間としての試衛館があるのだと思いますが、山南と藤堂が結果的に2時間半の長い上演時間につながってると思うんですよ。
歌もあるしあまり変えられないでしょうが、もっと締まるんでは。
Bではやや実感薄く冗長感がありました。Aは、気心の知れた座組みなのかも知れず、情の部分を熱めに演じて納得させるものがあります。
・甲子太郎がきもちわるいイイ存在感を出してます。
・廓は、ちと物足りないです。歌、踊りが多くある割に。遊女たちは男のストーリーのためにいるようで、せめてヒロインの菊姫はもっとどういう子かわかりたい。若鶴さんのほうがキャラが立っています。
・言葉をわざとわかりやすくしているのは、しゃあないし、その方がよかろうとは思うんだけど、結核なんですっ!て言われると、ぉぉぅ、ってなるよ。沖田と労咳って、自分の中で言葉としてセットだったから。
頭の中では、労咳、ミカド、ミヤコって、逆に古い言葉に翻訳している自分がいる。
・3か月も稽古期間があっただけのことはあり、技能自体は全体として安定していると思います。
歌は優劣が見えます。AB見るとソロは差がついてしまう。
・私には(好みの問題だと思うのだが)
歌よりも、蝦夷地での土方の呼びかけやら、斎藤のいくつかの独白のような語りやらがぐっとくる。
斎藤、とてもいい役。ABとも。
・悪目立ちする人がいる。他が歌っている最中に、すごい動いて落ち着かない。あなたは目立ちたいかも知れないが、スポットの当たった人に目がいくようにしてくれんとさ。名前は書かんよ。 Guess Who.
・で、関根さんの以蔵。
5キロ増やしたそうです。重そうw
動きは関根さんなので出ればすぐわかりますが、おまん、なんで長州の輩に指図しとるんかいね??って疑問符からはじまる。
土佐出身の以蔵ですが主に長州の桂の手先として描かれています。桂は最初から最後まで出ている長州の象徴で、最終的には勝ち抜けていく。これは以蔵にとっての武市の存在も肩代わりしているということでしょう。色々な勢力があるとわかりづらくなるから。
役柄上、殺陣の速さがわかるように見せています。跳ぶし、階段の登り降りもあるし、思ったより上下左右に走ってる。
あはは(汗)、またそういう役になってしまったのかー。終わったら身体大変だな。
しどころも結構作ってもらって人物が見えます。最後のところ、ちょと聞き辛い。(意味はわかる。)
異色でちょこまか動き、荒んだ末路を思わせる、薄笑いを含んだ以蔵、B班はオンリーロンリーの番外キャラでいいでしょう。しかし、A班、以蔵と服部、キャラがかぶる。ドンかぶりだ。
こんなの(すまん)2人いるとうるさいよ。ここは工夫じゃない?
どうする、以蔵。
全体的な客席マナーは悪くないと思う程度でしたが、夜はピンポイントに演者身内のおしゃべり(出てきて嬉しかったのでしょう)と、スマホチラ見する人に挟まれました。ちょっとだけならっておもうんだろね。
いい照明、いいセリフを上書きしてはもったいないよ。
5/5 夜B班
席、SSのいいところがポカンと空いている。あとから半分くらい埋まりましたけど、ああいうあきかたはもったいねーな。元々関係者席とかだったのかな。(知らんけど)
Bは菊姫さんの実力が頭ふたつ分くらい抜けてるんだよね。
その他含めだいたい印象変わらずです。
服部はややAに引きずられたのかもしれませんね。三浦がいい感じに頑張ってる。
試衛館で、どうしてなの?って近藤が嘆くところ、だいぶAとは離してきました。そうだよね。原田を叱るよねw。わかる。
今日はラスト1場追加ありました。初回にあったやつ。あれは回想じゃなく今の土方の意識と過去がないまぜになってる感じがする。
私はここまで一回も泣いてないのですが(涙腺固いです)蝦夷地のとこだけは、心はうるっときます。
土方が倒れた後はみんな走馬灯みたいなもんなのかなと思ってる。
ああいうときは普通一番良かったときの姿で出るもんですが、以蔵さんは、今日はボロいほうで出てきましたね。そちらが印象づけたい姿ということか。さては成仏してねーな。
昨日見てないからわからんけどいつ変えたのかな。初日はきれいな以蔵さんじゃなかった?
あと、山南の切腹の所に見物でいるの気づいてなかった。今日は見える席だったんで、あら、ここにも居たって感じ。
セリフ、試衛館のあいだがずっと聞こえづらい。音量が足りないのではなく人声の音質にエッジがなくて聞き取りづらい。音楽との兼ね合いの問題なのかな。同じ人でも聞こえる場面と聞こえない場面がある。
沖田とコウちゃんのデュエット
以蔵のラスト長台詞。
土方に永倉がなぜ戦い続けるか問い詰めるところに、返す土方のセリフ
この辺が聞きづらい。前も同じところだったので多分同じ理由。
5/6 昼夜ともA
係が懸命にお願いしてるのに、機内モードでいいよね?って会話が聞こえて、もう土方さんに、例外なく電源を切る歌でも歌ってもらえば?と思ってた。 本音を言うよ。その電話が鳴らず、鞄から出なきゃ、私は別に迷惑しない。でも自分が守った規則をその人が守らないことは愉快ではない。 それだけだよ。
昼は最前で見たら人質をとった以蔵さんの泣きそうな顔がよく見えた。関根さんの泣きは自分内で定評がある(笑)。
ただ全体が掴めなくて、もし初回を前で見てたら多分つらいなと思いました。
音は5列目で見た夜が、音像くっきりでよかったです。やっぱ、席のせいある?
2人、3人で歌う所のハーモニーもよく聞こえました。
カテコ以蔵さんは、昼キレイ、夜ぼろぼろ。あー、そういうカラクリ。
トリプルカーテンコールのあともう一度幕が上がりましたが、新選組以外が準備してない。慌てて戻ってきた以蔵、かわいい。
直ぐ土方さんに「散れ!」言われてた。間に合ってよかったね。
5/7 B班千穐楽
S席、下手。
芝居として面白くなりましたね、この班。正直6回見てこの回だけ、技巧でなくお芝居の流れで面白いと思えました。
心情がすんなりわかるんです。複数人で言う割台詞も滞りなく一連の流れに聞こえて、客側の思考の速度に合ってきた。
Aはほぼ出来上がった状態で舞台に上がってきたのかもしれない。Bは稽古場では踏み切れなかった一躍を舞台で跳んだのかもしれない。
ツイッターにも書いたけど、土方さんについてはシンプルにかっこいい以外語らなくても、みんなが語ってくれると思うんでいいかな、って思う。見よ屍の山から朝日が昇る!の所が好き。
斎藤は前に書きましたけど、あとは、桂が好きです。
節目節目に死神のように必ずいて、新撰組に少しずつ引導を渡していく。そして新撰組の最期である土方の死を見届けて去る。なぜかは分からないけど惹かれます。
以蔵さん。ツイッターから
「以蔵さんのこと。
関根さんが稽古中に、髭を蓄え、髪色を戻し、という、部分部分は見えてたんで、以蔵やるのに太るって?いったいどんな像を結ぶのか見当つかない、と思ってたのですが、蓋をあけたらだいぶ面白いことになってた。あやしい。職質待ったなし。
舞台上、見つけやすいのは助かりました。
太刀合いだけでなく、登って降りて走って跳んで棒ふってるし、プチ高所と足腰体力を心配しつつ、関根祭りとしては色々出てて表情豊かで、楽しかったなという感想。後で皆さまの感想見たら、前の役と違う、怖い。
あ…、ですよね。
照明が変わると鋭い眼差しへ。キタキタと思って見てました。
刀に裏打ちされた居場所を失い、人質をとる以蔵さんは、遠目では自暴自棄に見え、近くで観ると張り付いた泣きそうな顔が見える。
他人のための人生だったんだろうか。この物語の登場人物の中で自分の為に生き、しねたひとはどのくらいいただろうかって思ってしまいます。」
「あ、もうひとつ。
関根イゾーさん、昨日の教訓からか、最後の最後のコールに遅延なく周到に出てきました。
抜かりねえw
ぼろぼろだったけど。(キレイな以蔵さんと、成仏してなそうな以蔵さんと、見る回によってカーテンコールに出てくるいでたちが違ってました)」
以上、綺麗な感想(イゾー版)。
みんな、すごーい、学と違うーって褒めてくれてるけど、こんな飛道具みたいな手はそう何回も使えんぞーw
姿形はすげー違えてきたなと思いましたが、芝居自体は関根さんのお手のもので、そこまで意外とは思いませんでした。それより、ちょっとまって。今回もう少し楽させて貰えたりしないのっ?こんなに若者いるのに、にいさんの動線多過ぎね?ってほうが驚いた。上下左右縦横斜め。終わったらまたぶっ倒れちゃうよー。(ちらっと高めの所に登らされてます。プチ高所お疲れ様w)
ひとつ面白かったとこを思い出した。
楠が間者とバレるところで、以蔵は舞台の手前側でしゃがんでおりシルエットになっている。声もない、顔も見えない。
はっと顔を上げ、おそらくニヤリとして、肩を揺らして笑う。関根さんが、ヒーローのスーツアクターをやってるときに、よくこんな笑い方をしてます。
楠が気づかれた
相手は永倉か
なびかないか
おもしろくなってきたにゃー
ってとこかな。
いつものマイムが、影だけでわからせる技術になるの面白いね。そういえばモーションアクトもやってた。
初日に”考える”って書いたから、お値段の話をします。個人的には6500円はクリア。(てゆか、S席がベスト。)
前(SS)で見て8千円くらいの芝居だと思う。加算されるのは徳山代。
多分個人の実力に由来する、手直しではどーにもならない部分があるまま本番を迎えている。あの歌(複数)が混じってる状態では、満額の点数はあげられない。殺陣だって、この値段の芝居ならいつもどのくらいのものが見られてるか。
初舞台が多い割にここまで作ったのは偉いですよね。衣装も照明もちゃんとしている。芝居だってそこいらの小劇場よりしっかりしてるかもしれん。えっほんとに初舞台なの?と驚くような人が複数いました。
でも、おおよそいちまんえんっていうのは「できあがってて当たり前」を保証する値段だと思うんですよ。芝居よくできてたな、と、チケットを見て、あ、この値段ならそりゃできるわっていう値段。
もしやその稚魚達の養育費が9500円の中に入っていて、この値段になっているんじゃないかな。知らんけど。
それをひとりで何枚も買う人間が支えている。つまり、何万円も出す人で席を埋めている興行です。(満席の日もありましたが、SSの後方席ががらっと空いた日もありました)
なぜって、普通の人が新人や知らない人だらけの新撰組のミュージカルを見ようとおもわないか、そこに出せる額とはかけ離れてるからじゃないかね。
あと10枚欲しいって役者が言ったとき、たぶん新しい人が10人来たりしないんですよ。
リピーターが多い舞台といえば聞こえはいいです。実のところ、既に買ってる役者の贔屓が痛い腹をさらに切って銭を出すんだぜ。もちろん、喜んで出してる、何回も見たいって彼らは言うでしょうよ。
でも私はそこからじゃなく、このプロジェクト自体の底力で新規を増やしてほしい。
花形の舞台として気負わずに見られる席がもっとあった方がよくないかな。
それができる劇場、人数では駄目だろうか。
(5/10 追記)
よいことひとつ足しておきます。
昨今の、時代劇風であって殺陣は一生懸命やっても、衣装は和テイスト、和柄程度が多い中、ちゃんと和服を着てたのはえらい。遊女役の人たち、打掛を着る経験とかあまりさせてもらえないのでは。舞台衣装なので誇張や扱いやすくするところはありますが、股立ちをとった旅姿というのが表せるところ自体がもう珍しいもん。
普段の稽古から着物でというのも所作を叩き込む上で良かったでしょうね。
写真は、横浜の民を見たら、しなきゃいけないと思ったのか謎の構えになる半・以蔵さん。(頼んだわけではない。)
このポーズってこわいんだねw