kikuyamaru's blog

こちらにはノンジャンルの長文などを書いています。

ままこいめも

ママの恋人

2019/8/7初日、8/12千穐楽

キンケロ・シアター 全席指定6000円

 

ストレートプレイ。コメディ。

普通がわからないと常々言ってる関根さん、普通の人の役。

ママであるところの女優のマネージャーを10年以上務めているという富田さんの役。

筋はなるべく書かないようにしていきます。

 

8/7 初日 月組

まず、セリフが、むむむ、日常ではこんな言い回しはしないなって思った。

テレビが始まった頃に吹き替えられた、洋物のドラマだったり、洋物ミュージカルの日本版、

あと、マスオさんを思い出しました。

マスオさんって大正生まれですからね。

女子の「だわ」言葉も結構古いよね。

こどもの頃は、テレビドラマやマンガの言葉の様式だと思っていましたが、あれは演劇的なものにはりついて残ったひと世代前の言葉だったんだろうなと、今になれば思います。時代劇ほど様式化してないので、かえって使いづらそう。

芝居観ながら、リアルで「僕」「キミ」言いそうなひととして思い浮かんだのが、津川雅彦さん。

そしたら、この芝居の初演は朝丘雪路さんだったんだって。

あー。繋がったw

 

全部の中で、いいなと思うのはママの作ったオムレツのところ。

 

どの方も安定していて、楽しく、力量にぶーたれる余地はないですが、全体的に出力90%くらいに思います。

これから少し、めりはりが出てくるかどうか。

 

8/8 星組初日

昨日書きませんでしたので、セットの話をします。

客席入ったら、セット、すごっ、ってなります。ベランダの窓にサッシがあって、実際に開けられます。ドアも3つ。

内開き、外開きが違うのも理由があるんだぜw

ワゴンの上には洋酒瓶があり、中味が飲めます。

何もないところで役者の動きで想像させるのにばっか慣れてると、こういう隅々まで実物らしいセットは新鮮。

これは世話物ってことだろうな(歌舞伎脳)。

そして全部の芝居は、このおうちの中で起こる。

 

星組の特性か、2日目で手直ししたのかは3日目を見ないとわからないのですが、太くてはっきりした像を感じます。

楽器に例えると月組木管のような柔らかな音色。

星組トロンボーンのバリバリした音。

富田くんも2日目のほうが押しの強い男に感じました。

出たところで「オレ」になってる。

変えた?間違い?

 

8/9 月組

噛み合ってめりはりが出てきたというか、役者さんの個性が出せてきてました。

お手伝いさんは快進撃しており、しかしそれに揺るがされないママの正確さ

富田くんは、初日、もっと厚みがあるといいなと思った見せ場の部分でたっぷりめに間(ま)を取っていて、情を感じさせてよかった。

が、本人は口がまわらなくて…と言ってました。それは、わしも思ったw

 

8/10 月組星組

行儀の良い感じから、コメディー度が上がってきました。

土日のお客様の温度に応えたお芝居ということもあるんだろうと思います。

やっぱ、舞台は変わるねえ。

ただ夜のはちょっとガチャガチャしてたな。

マリ子さんの役が変則で、星組のマリちゃんが、朝の月組にも出てました。

この組み合わせがなかなか良かった。

富田くんの詫びは現在のところ、この昼がベスト。

あとね、序盤、朝はビジネスマンとしての顔、夜は、長年女優を見てきた顔、だった気がします。これはどっちがいいのかなあ。

 

もうちょっとだけつづくかも。

***

忘れそうだから筋のことを少し書いておきます。

わからん程度に。

仕事と恋は混ぜるな危険だし、友情や仕事上の信頼と思ってるものが実は片側からは恋愛であることなんてざらにあるんじゃないかな。混ぜるな危険。

 

8/11 星組月組

昼が、ハプニングで珍しい回になりました。これはまた終わったら書きましょうね。

安定してきた中、月組千秋楽。福島先生はまだ変えてきました。

あと、本の宣伝のときの小ネタを受けて、富田くんとりえちゃんが小芝居してるのが好きだった。

富田くんは本当に、毎日白髪が増えてくよ。大丈夫なのw

詫びは昼の方が泣かせた。昼のが調子いいのかな。

 

8/12 千穐楽 星組

同じ列に遅刻のお客さんが別々に3名。おおお、狙ってる?

遅刻はね、そゆときもあるよ。

でも導入に富田くんの重要なセリフが沢山あるんで、そこで客席に案内されると、ああ、そのくらいの重みと思われてるシーンなのかなぁって悲しくなっちゃいます。その部分が遮られると、なんで「誰か死んだ?」って言われるのかわからなくなっちゃうじゃん。

中盤は良かったですが、後半、携帯のバイブが鳴りましたねー。二回。

スタッフのおねえさんが電源から切れと言ってるのは伊達じゃない。本当に鳴らす人がいるからダ。

どうせ鳴ったって出られないんだから切ったら?

お客さんの質は悪くないと思います。子どもが多いのは、役者さんの生徒さんが沢山いるせいでしょう。行儀もそんな悪くない。(幼児はしかたねえな。親御さんの見通しが甘かったということで。)

ケドいるんだよね。残念。

ラスト、富田くんが携帯で写真を撮る演技をしてた。その余裕が出たところで千穐楽ですね。

新妻に対する言葉は、今日は優しい説明でしたね。言い訳でなく、聞いてもらうための言葉。いいところにたどり着いたと思います。

また別途振り返ります。

 

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***閑話

富田くん、毎日白髪が濃くなる話。

初日は二筋くらい、メッシュのように入っていただけだったんですよ。

そしたら、次の日増えてた。遠くからだと見えないかと思って。だそう。

正しい。関根さん若く見えるから、マリ子と不釣り合いな年の差には見えないんですよね。

でも、毎日白髪が増えてくんですよ。

なんでも、「比較材料が鏡の中の自分だから、前日より濃くするとどんどん濃くなる。加減がわからない。」

楽には後ろも前も白髪だらけw

そして明かされる白髪の正体。

龍角散とかベビーパウダーで白くしている。

龍角散は匂いがするから、ベビーパウダーにしてる」

待て待て、龍角散はもったいないってばw

***

 

終わりましたので、筋を交えて。

次々と恋に落ちては逃げられる女優 花岡洋子さん(子連れ)のお話。いやあ、こんな人いたら周りチョー困る。スターだからギリギリ生きてけるってのと、周りがすごくフォローしてくれてるんだと思う。

それと仕事と恋を混ぜるとキケンなんやで。

洋子さんの側は(少なくともこの舞台では)混ぜてないんだよね。恋をしたら仕事はぶん投げる対象。

だから、自分の仕事と直結する富田くんとは恋に落ちられないんじゃねえかな。

でも男の側は仕事がらみなんですよ

そういう形だから去っていくんではないのか、と、思ったりする。男の才能に夢を見ることと、側にいて楽しく過ごすことは、かくも両立しないのだぜ。

・お金。序盤でハットにサングラスにワンピースの女優は巨額の出演料を蹴って「わたしたちどれほど貧乏?」と言う。

あなたさえいてくれたら、無一文になってもいい。

しかし、あなたのいない無一文。これは困る。服装はどんどんラフになり、最後ドテラに炬燵。この落差。

・すっごく薬出てくる。

多分製薬会社のCMを長年やってて胃薬には困らないんだと思う。

・お湯はね、やかんで沸かしたら魔法瓶に入れておくものだったの。昔はな。

だから電気とガスが止まっても、ポットにお湯はあるのだよ。生活様式も随分変わったよね。

初演の頃はまだ携帯持ってない人も多かったと思う。美容室の電話がテレフォンメモに書いてあるように、家の電話がまだまだ活躍してた頃。スマホのところそれぞれどうやってたんだろね。 

・テレビが下手にあり、上手前列の席からはソファに遮られて見えません。3回までこの席が割りあたりまして(笑)、係の方が、見えないので代わりますか?と毎度聞きに来られます。親切でありがたい(が気まずい)。厚意に甘えて代わらせてもらいました。しかし同じタイミングで取ったチケット全部ほぼ同じ席に割り当てるかね。どういうしくみよ?

で、テレビですが、対談番組など実際にリアルタイムで演技して映してるんだそうです。

それが日曜日の昼の回、テレビのタイミングで上手に出てくるパイプ椅子。

んん?そこで生演技?。あれ?演出変えたのかな?それとも?と思い、後で聞いたら、テレビが壊れたそうで、急遽その形になったそう。その回だけでした。その回見た人レアだったのよ。

 

***

役者さんは月組星組ダブルキャストで、女優の洋子さんと、マネージャーの富田くんだけシングルキャスト。

洋子さん:女優。衣装替えとセリフ量ー。そしてきっと大女優なんだなぁって思わせる佇まい。多分料理もうまい。

機嫌が悪い寝巻きのとこが宝塚みたいで素敵。あと飛び降りられずに家の中で吹雪にゴロンゴロンするとこが好き。

だが、このタイプの人とリアルで関わるのは避けたい。振り回される。

妙子さん:お手伝いさんです。元スクールメイツ。昭和58年にいったい何歳だったのっ。月組妙子さんの柔軟さ。星組妙子さんは頼れる重み。

りえちゃん:娘さん。五年生くらい。ナレーションも担当。セリフ量ー。

序盤。それぞれ、京都のイメージを舞妓さんのマイムで表していて、星組りえちゃんは、お化粧をするんですが、最初棒口紅をぐるぐる付けるようにしてたのね。それを指で紅を付ける振りに直しましたね。レベルあーっぷ。

月組りえちゃんは、「しんだわ」とか、マリ子ちゃんに紹介されるときのゼロになってる表情がおかしい。

村上さん:作家。月組村上さんの新刊紹介の中の遊び(パラパラマンガがついてまーす とか)を受けて、富田くんとりえちゃんが、ひそかに遊んでるのが好きだったっす。星組村上さんは頭の爆発度がやばかった。あと、洋子さんとの言い争いで少しむっとしてるんですよね。解釈が違うんだなと思った。

橋本さん(と、リカコ):雑誌記者。正直こいつの魅力はよくわからんw(役者さんのことじゃなく、役ね)

印象はそんなに差がなくて、リカコとのコンビで場の印象がかわる感じでした。金魚と、ニシキゴイ

(このコンビ、途中でカメラと照明係になってますw)

三浦さん:探検家。飛び道具。めちゃくちゃだが、こどもと遊んでくれるお父さんには最短距離なのかもしれない。反則な役をどのように演じ分けるか。結果、全然違う人だったなあ。

アドリブに見えると思いますが、段取りはそこそこ決まってます。月組三浦さんは遺書の字がヒドイw

星組三浦さんは遊んだ量だけ後の尺を調整したり、結構計算してるなあ…って感じ。

浅井リポーター:すこぶる元気なテレビの象徴。フルネーム強調。芸能人って大変。最初両組同じ人かと思ってた。あのヘアはウイッグ?

マリ子:妙子さんの姪。この子は両組で声が全然違う。土日、マリ子だけ別組と組んでの芝居がありました。なんか、全然大丈夫で感心しました。

洋画から出てきたみたいな型を割り付けられた役で、多分一次正解はそれなんだけど、もう少し違う見せ方もある気がする。もっとお芝居できそうな。

 

で。

富田くん:10年以上女優のマネージャーを務めている人。りえちゃんは、なんでパパになってほしくないのかなぁ??

初日から見てますと、洋風コメディーの様式から、地に足のついた感情への進化があったように思います。

例えば最初の言い合いの真剣味。コメディーの記号的に怒ってるやや立場の弱い彼と女優の非現実度を際立たせる言い合いの風情だったのが、俺が苦労して取ってきた仕事よりまた恋人かよっていうガチの怒りになってきて、女優と本気で言い合いができるポジションに上がってきました。リピートで見ると、後半の告白の中身がよくわかるようになりました。

そもそも稽古の最初の方で方向性を変えてプランを組み直したとのことなので、さらに本番を経て微妙に変わった感じかしら。(じゃあ元はどんなだったんや?)

 

誠実で残念でかっこいい。関根っぽい役になったと思います。

(“残念”については印象に個人差があると思われますw)