kikuyamaru's blog

こちらにはノンジャンルの長文などを書いています。

白き鬼と毎夜遊びし譚(お芝居に関する雑談)

三日たちて、白き鬼に、はや、脛毛の伸びたるありといへば、脛にあまた傷ありて剃るあたはざりきといひて裾をたくして見せたり。
げに、顔には赤き筋、脛には赤き傷、毎夜増してゆきにしとぞ。
(※そんな話ではない)

 

芝居企画TECALL第12弾本公演
鬼腕の談〜かいだん屋奇譚
萬劇場
2020/1/22-1/27 10公演 (佐々木ラスト、古賀ラストあり)
一般チケット 3800円
プレミアムチケット 6000円(DVD,集合写真付き)
自由席

 

テコールさんの公演に関根さんがゲスト。
10回中8回観劇。
充分面白かったので、おもしろかったーで済んでしまってとくにメモってないんですわ。大塚遠くてさ、帰ったらもう眠いわけ。千鬼ちゃんのメイクだけ毎日描いて。
けど他の芝居は毎回書いてたのに書かないのも変だし
記録は必要だな、ということで、書いておきます。
関根目線にて。
えー。たぶん舞台の感想ではございません。千鬼の話です。ごめん。
こんだけの回数見たのでわりと満遍なく見てはいた。直接会ったときに語りましょう。もし、そんなひとがいたら、ね。

 

きわんのだん
鬼の腕のはなし、ですね。
談はハナシのほうになってますが
段でも良かったんじゃ?とも思う
義太夫みたいな感じもあるし、洒落っぽくない?

 

関根さん、早くから連日稽古に行ってるという気配もしなかったので(別仕事に追われてたっぽく)、どのくらい出るのかなあ?って思ってたら、
冒頭から真っ暗闇に聴き慣れた声の叫びがする。
なんも飲んでないけど吹くわ。
喉の調子良さそうじゃないすか。

 

舞台上の段から白いのが客の目前に飛び転がり落ちてくる。(あぶねーな)
黒い4人が囲んで呪を唱える。服が仏教っぽいから呪じゃなく真言かお経かもしれん。
白いのはまがまがしい言葉を残して封印される。(ツボに。ダイジョブなの、そのツボ。)
「我を未来永劫まで連れて行くであろう」って、いきなり違和感あるセリフ来たよ。未来永劫はそんな使い方しなくねえか。まあ言いたいことはわかる。ときが経っても人間の本質が変わらない以上、鬼も消えない。
白いのが千鬼。そして、もろともに死ねなくなったのがこの4人の生き残り鬼縛衆ということみたいですね。
(のちに、回想の中で、なんでこの人らが鬼を封印するに至ったかわかります。その後仲間の鳶が鬼と化すのを鎮めようとしますが、むなしい。千鬼は封印できたのに。4人力を合わせないとだめってことなのかな。)

 

という一族の話を、以前の公演、あのー、セミの話…ではない怪しい霊能雑誌記者の話に出てきた宮本と神谷、そして今回のキーマン古賀君がしている。そして、かいだん屋さんの鵜野月、関内がすれちがう。そういう導入です。
前のかいだん屋と廃墟マニア?かなんかの図式に重なりますね。

 

かいだん屋がなんなのかは、あんまりはっきり語られないです。お祓いやさんらしい、くらい。
手段としては関内くんが背負ってるあの階段であの世に連れてくんです。あれ仕事の道具。その辺は前のかいだんやを見てるのでわかりますが、今回初めて見た人はどのへんで理解するんですかね。前説?
で、かいだん屋さんがお仕事に行った先で、別の勢力、アヤカシ喰いの一族っていうのに再会。この人(ひと?)たちは、ごはんの調達の結果があやかし退治になってるってやつですね。
しかしどうも意図的な御馳走増産が起こってるねっていうのと、宮本の取材先の宗教団体、これを生む遠因になった惨殺事件、かかわっている少女、それを探す古賀くん。これらがひとつにつながってくる中、積極的に巻き込みにやってきたとしか思えない腐れ縁たちに巻き込まれてしまうかつての破壊屋・海舟。
繋がった糸の先には、鬼たちがいた。
…というような繋がりなんですけど、総勢29人だそうで。
パンフに相関図がありましたが、役者さんの写真なので誰が誰か判別できない、役の写真を載せてほしいというオトモダチからの声があったことを報告しておきますw

 

階段の準備ができる所までは、取り憑かれイトゥーさんパート、真面目パート、ノリノリパート、殺陣パートなどなどいい感じの密度と推進力で、間(ま)もよくて、おー、このままいくかあ?と思ってたら、
出たなテコール!って感じだった。
この強引にまとめたつもりになる感じ。
でも前みたいにうるさくないし、話も割とついていける。
前のかいだん屋でテコールアレルギーになった方(そういう人がおんねん)にもだいぶ大丈夫だと思うので見てほしかった。

 

ラスト近くで、ちゃらんぽらんに退場するうのさんが、何日か後の上演では、ああ、手柄を譲って佐渡島は受け取ったのねえってわかるようにやっていて、
そういうのわかるようにやるの、いいと思いましたよ。海舟を訪ねたときの調子も変わってきてましたね。
もうやり方固定かな、頭打ちかなと思ってたところで、変化を見たので、まだいけるかな?に変わった。
人の心の距離の近さ、遠さ
通じたり、通じなかったり、
そういうのを、客が、汲み取らずとも舞台と同じ速度で感じられるようになったら、もっと萌えなんじゃないすか。
それがこのお芝居の課題、と思った。
で、それを担うのは、客演の方ではなく、まさしくこの劇団の方達だなあって思ったわけです。
充分面白かったですけどね。

 

女子の話をしておきたい
技術を武器に生きてる女性が多くて、男女対等っぽい世界です。別に棄ててるわけではなく実力があれば男も女も関係ないんでしょう。
穏行鬼と千鬼はペア、京子ちゃんと古賀くんがペアということになっていて、ほかにも一応繋がりがあるんだろうなと描かれる部分はありますが、なんか、さらっとですよね。
世間はそうではない。もっと女子女子した女子がうじゃうじゃいて、おとこであること、おんなであることを思い切り意識しながら生きてる。(惨殺されていく通行人とかはそういう世界ですね)
だから、この"きわん"の世界はそゆとこもファンタジーだなあって思う。

 

あとね、ヒーローショーって書いてた人がいたんだけど、後半のバトルはそれでしたね。
それぞれの相手が決まっており1対1の太刀合いを何回か繰り返して、後はお前だけだー!っていう、複数人ヒーローがいるときのヒーローショー方式。なるほどそうですね。

 

そのラスボス、千鬼の話。

劇中の12年前。…たぶん現在の現在から見るともう少し前。
どうやらあの心もとないツボが心もとなくなってしまったらしい。工事現場で壊れちゃったんでしょうね。
よみがえったのは、冒頭の白いの。千の鬼を生み出すともいわれる千鬼。
ママですね。パパかな。
下の段から霊鬼ちゃんがなついてくるので上の段にいる千鬼がその目線までしゃがむとこなど誠によき風情でしたな。霊鬼かわいいもんな。寄ってきたらゆるんじゃうよね。
こういうのがあるんで、一応自分の生んだものは慈しんでるらしいとわかります。

 

千鬼の衣裳はオフホワイトの袖なし羽織の下に、婚礼衣装の白無垢です。それを左前(普通と合わせが逆です。死に装束の着方)に着ています。
女物の裾を後ろに引きずる長さで、足元は白い地下足袋です。
その衣裳で立ち回り。
しかし、振袖だといっても、お姫様が小太刀を使うのとわけが違いますからね。
裾をからげて(脛が出るので、すね毛は剃ってました。←現場でしかわからないじゅうようなじょうほう)
振袖をどうにかして(時により羽織の内側に入れたりしてました)、上の段から飛び降り、下の舞台から這い上がり。
飛ぶわ転がるわの大騒ぎ。ごろんごろんするから、ウィッグではアカンと判断したんですかね。地毛を金髪にされていました。髪と地肌が心配ですw
舞台も走り回るには狭くて、これが平場でもなくて客席との間に20cmくらいの段差がある。
客席際際まで転がってくるし、見てる前で踏み外したよ。(相手の方が経験豊かな方でなかったら危なかった、と言ってた。こわいこわい)
実力発揮はよくわかる。でも衣裳関係なくあぶねえ。
そこに衣裳あれだもの。ほんとに、踏まないように、引っかからないように、毎日はらはらして見ていた。
(したら、カーテンコールで、上の段に上がってくるときに、踏んだ。やめてー。)

 

あの立ち回りにこの衣裳は、No thank you. Never again. です。

 

新郎…じゃない、対戦相手になる鬼縛衆の長、佐渡島は現代風のスーツに革靴。白無垢不利やん。
ぞろっとしたのは打掛にして脱ぐとか、袖は抜いて下の襦袢で戦うとか、せめてたすき掛けとか(脚出してたすきがけ、大掃除のようだ)
袴にするとかなんかあったんじゃないのかと思う。
気にせずに安全にアクションできるほうが、アクション自体に注力できるんじゃないですか。ね。

白いと言えば、顔が。ブロマイド(注:でかすぎる。舞台写真のアルバムに入らない)ご覧になるとわかりますが、眉までつぶした驚きの白さだったので、表情が見えないんですね。
初日の夜お見送り時、
ワシ「メイクしてないほうが顔が濃い」
せきね鬼「反論できないデス」
次の日の千鬼様は、白地に赤いラインの悪魔メイクみたいなので登場。私は昭和特撮の悪役かな?と思いましたが。それから毎日日替りで顔の隈取りが変わるという進化っぷり。
線があることで顔の筋肉の動きがわかる。顔芸の効きが全然違うもん。ずーっと顔でお芝居してるのでこれだけで千鬼ちゃんの印象全然違う。(7割何の顔かわかんないけど)
千穐楽だけ見られなかったー。残念。でもSNSにあげてくれてた。すごい線増えたw

 

キャラクターとしては、特にややこしくない悪ボスです。
千年も封印されてたのに、じんせい(ひとじゃない)たのしそうですね。
国を作ろう…とか思ったことはないので(当たり前か)その心理は見当がつきませんが、昔はもっと鬼がいたんでしょう。単純にもっと仲間がいたら楽しいな、ぼくごのみの世界にしたいなって思ってのことかもしれない。
この人の見習うべきところは不屈の精神でしょうな。どんな悪い状況にみえても、力の及ぶ限り次の一手を打ち続ける。
おともだち全部階段で送られても諦めない。綻びはないか、呼び戻せるか、手ごたえあり、よし!(とにかく顔芸)
だいたい、欄外で、現在フォーカスされてるのとは全く関係なく動いてるキャラが多い作品ですが、千鬼も例外ではなく、真ん中の話とは関係ないとこで自分のできることに尽力してるのです。
まー、わかんないですよ。なんの顔なのか。
Twitterにも書いたけど、DVD届いたら、これは何の顔?って聞く会をやりたい。

千鬼の芝居は席によって、見える見えないもありまして。
ここまで後ろなら通路での芝居も見えるかな?
でも、このあいだジャスト隣に止まったのもよかったな…なんて迷って、全部違う席だったと思う。後ろは見える範囲が広いけど、お客様のさまざまな生態が見えて集中力が切れてしまうんで、前が多かったです。

 

この役、たぶん、関根さんの使用法としてはだいぶ正解(ww)とは思います。1日目は少し温度低めにやってたのかと思うけど、2日目以降は、おおお、だいぶ頑張っちゃったなあっていう熱いもんがあって赤也(ヒーロー役)の時を思い出しました。
役的にそっちでいいのかはワカランw たぶん、ほかの人だったらこうはならんよ。
最初のかいだん屋の構想の時に、違う形で誘われたということを聞いてて、もしそうだったら、これはないんだなって思った。それもそれで面白かったかもね。

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ああ、そうそう、チラシのランダムサインは、とうとう関根さん出ませんでした。
一回も出たことないですわw